ヒーローになった犬事件


「昨夜の作り話は完璧だったはずなのに」

プレイボーイのシリル・マーキンは、悲しそうな表情でハレジアン博士に尋ねた。

「どうしてトゥルーディ・ショーはすべてお見通しだったんでしょう?

トゥルーディの家は三代続いて犬の曲芸を売り物にしたサーカスをやっています。

だから家族の誰かに素晴らしい犬を飼ってる目利きでもいないと、

2度とデートさえしてもらえないんです。そこで、彼女の心をつかむために

祖父と頼りになる4つ足の相棒の話をこしらえたんです」

マーキンは鬱々とした様子で喉を潤した。

それから失敗に終わった最新の作り話を詳しく説明した。

「祖父の農場の近くを通っていた線路は、両側を険しい崖に挟まれた急カーブになっていました。

そして農場からは急カーブの線路が見えたので、そこに岩が落ちたときには

祖父が丘の上から赤い旗を振って機関士に警告していました。

ある日、線路に岩が落ちているのを見た祖父は、汽車が近づいて来たので

丘を登り始めました。でも途中でつまづいて転んだはずみで、

頭を打って気を失ってしまいました。このとき、犬が真価を発揮したのです。

犬は家に駆け込むと、物干し綱にあった祖父の長い赤色の下着を引きずり下ろし

それをくわえて丘に駆け上がりました。

 そしてその下着をくわえたまま丘の上を行ったり来たり駆け回りました。

まるで警告の旗を振っているかのように。

赤信号に気づいた機関士は汽車を停め、何百人の死傷者が出るところだった

大事故を防ぐことができました!」

「きみは幸運だったよ」 ハレジアン博士は言った。

「そんな話をして、トゥルーディに噛みつかれなかったなんてね!」





Q3

この話のどこがいけなかったのでしょう?

by ドナルド・J・ソボル


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A3
せっかく苦労して考えたシリルには不運なことに
祖父の振っていた旗や下着が
赤いことが犬にはわかるはずはないのです。
犬は色の区別ができないのです。



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